
大正時代に実際に起きた遭難を元にした小説です。
小学生の就学旅行で生徒と教師を含め11名が死亡するという
大変悲惨なものでした。
著者の綿密な取材に基づいて書かれた作品であり、
物語の後には取材記も収録されています。
なるほど、この詳細な遭難の描写はこれ程の取材の上に成り立っていたのかと
著者のこの作品を描くにあたっての真摯な姿勢がわかります。
当時は予測不可能であった天気の急変。
山頂にあるはずの山小屋が無いという最悪の状況。
暴風雨の中冷静さを失い我先にとの下山。
そんな中でも最後まで生徒を守るために尽力した先生方と
必死に歩く子供たちの姿に涙しながら読みました。
整備された登山道、高性能の山道具、立派な山小屋。
恵まれた環境で登山できる私たちだからこそ
無茶をしてはいけないと強く感じました。
題名にもなっている「碑」は遭難記念碑。
遭難者を悼むのではなく、遭難そのものを忘れない為に記念碑となりました。
今も修学旅行登山は万全の体制の元、続いているそうです。
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